実は消防士や救急隊も、よくわかっていない??
「民間救急って何?」そんな疑問に、消防署で11年間勤務し、実際に民間救急事業を経営している、「民間救急パラメディック」が回答します
民間救急の認定方法や消防署の救急車との違いなども説明します
まずは結論から!
民間救急とは、「ただの名前」です
??な感じがしますが、詳しく説明します
| 民間救急とは
民間救急について、ネットで検索を行うと、
「民間救急とは消防署から認定を受けたタクシーやバス事業者(福祉事業限定を含む)のこと」と説明されたものが多いです。
ここで、疑問に思いました
消防署から認定を受けていないと民間救急は名乗れないのか?
どうやら違うようです。
消防署から認定を受けていなくても民間救急は名乗れます
東京消防庁さんに確認しましたが、
🧑🚒「東京消防庁の認定を受けなくても民間救急は名乗れますし、実際にそういう業者さんもいらっしゃいます。もちろん東京消防庁の認定は名乗れませんが、、、」
とのことでした(他の消防署さんでは、違うかもしれません)
しかし、普通の個人タクシーなどで民間救急を名乗ってしまうと、利用者さまは困惑してしまいます
最低限、車椅子やストレッチャーが積載できるだけの機能は必要かもしれません、、、
民間救急について、消防署の規定には「患者等搬送事業者」と記載されてきます
患者等搬送事業者=民間救急 といった感じです
この「患者等搬送事業者=民間救急」に消防署のお墨付きがあると「〇〇消防署認定」と名乗れるようになるということです
これが答えになります
認定を消防署から受けるには講習を受講するなど定められた基準に適合する必要があります
後述しますが、基準の例として
- 消防署で民間救急の講習を受講する
- バッグバルブマスク、三角巾、担架などの資機材を積載すること(※車椅子専用車はバッグバルブマスク不要)
- 乗務員は1台につき、2人以上であること(※車椅子専用車は1人で可)
- 「患者搬送車両」などの表示を車両ボディーにすること
- 車体はサイレン、赤色灯などを装備しないこと
などがあります
参考に東京消防庁の規定をご覧ください(こちらから)
| 消防署の救急車との違い
消防署の救急車とは緊急走行ができない、などの違いがあります
表にまとめました
消防署の救急車 | 民間救急(消防の認定あり) | |
走行 | 緊急走行 | 一般車と同じ普通走行 |
料金 | 無料 | 有料 |
搬送先 | 原則管轄内の病院 | 基本自由 |
処置 | 可能な処置 多 | 可能な処置 少 |
隊員の数 | 3人以上 | 2人以上 (車椅子専用は1人以上) |
資格 | 高規格救急車の場合は 救急救命士が1人以上 | 資格は不要だが 消防署で講習を受講 |
外観 | ボディーは白色 赤色灯・サイレンが必要 | 赤色灯・サイレンなどを 呈していないこと |
| 民間救急の仕事内容
民間救急の仕事内容は緊急性のない患者さんなどを搬送することです
具体的には
- 病院から病院への搬送
- 退院時の搬送
- 緊急性のない通院
- マラソン大会などのイベントへの救護参加
などがあります
民間救急ができる医療処置は、酸素投与・吸引・点滴の継続管理、などに限られます
消防署の救急車のように、車内で点滴のために針を刺したりは現在のところできません
| 民間救急の料金
民間救急の料金は「国土交通省運輸局(関東運輸局・九州運輸局、など)認可の運賃」に「サービス料(介助料・ストレッチャー使用料、など)」が足されたものになります
国土交通省運輸局(以下、運輸局)の認可の運賃は「利用者が車両に乗車してから降車するまで(遠方の場合は迎車料金)」ですが、別途サービス料(民間救急の会社の自由設計)があるため、思っていたより高額になる場合があります
民間救急を利用して気になる際は、運賃とサービス料の内訳を聞いてみてもいいかもしれません
弊社のホームページにも料金の内訳と詳細があるので、興味がある方はぜひご覧ください
運賃とサービス料の内訳の詳細を記載しております
| 民間救急→消防署認定 の手順
①運輸局からタクシー事業の許可を受ける → ②消防で認定を受ける
この2つの手順になります
① 運輸局からタクシー事業の許可を得るには
- 運転手もする場合は第2種運転免許が必要
- 運輸局の法令試験に合格する
などがありますが、
何より書類の提出などのやりとりが大変です、、、、
自分で行うことも可能ですが、行政書士さんに依頼することも可能です
行政書士さんに依頼すると、20〜80万円くらいの料金が発生しますが私は行政書士さんに依頼しました
私が依頼した行政書士さんのホームページを載せておきます
(→コチラから)
鹿児島県姶良市にある「あいら行政書士 坂元事務所」というところです
とても丁寧で価格もお求めやすいです。何より熱量が素晴らしいです!
気になる方は、ぜひ無料相談だけでも利用してみてください
押し売りをする方ではないのでご安心を
② 消防署から認定を受けるには
「A、講習の受講(患者等搬送乗務員)」と「B、会社・車両の登録(患者等搬送事業者)」の2種類があります
A、講習の受講(患者等搬送乗務員)
民間救急の講習(以下、乗務員講習)を受講する必要があります
乗務員講習を受講すると、適任証をもらえます!
普通救命講習のカードみたいな感じです
ちなみに、この乗務員講習は民間救急でなくても受講できます
例えば、介護タクシーとして営業している会社で、会社・車両は民間救急として登録せずに、社員のみ乗務員証を受領する、といった感じです
(民間救急業者でなくても、乗務員証を持っていると利用者様も安心されるかもしれません)
民間救急には
- 乗務員の確保(ストレッチャーを使用する場合は原則2名以上)
- 資機材の規定(バッグバルブマスク・担架など)
- 消毒表の記載
など、さまざまな規定があるため、乗務員講習のみ受講する業者さんもいます
B、会社・車両の登録(患者等搬送事業者)
道路交通法による
- 一般乗用旅客自動車運送事業の許可
- 一般貸切旅客自動車運送事業の許可
- 特定旅客自動車運送事業の許可
- 自家用有償旅客運送の登録
が、必要になります。
①で説明した運輸局からの許可のことで、許可証などの写しが必要になります
民間救急の認定は「ストレッチャーと車椅子」と「車椅子のみ」の2種類があります
この2種類の違いは
ストレッチャーと車椅子 | 車椅子専用 | |
乗務員数 | 原則 2名以上 | 原則 1名以上 |
資機材の違い | 車椅子専用 より多い | ストレッチャーと車椅子 より少ない |
講習単位 | 車椅子専用 より多い | ストレッチャーと車椅子 より少ない |
などがあります
許可証の写しや、乗務員の名簿を提出し
消防署の検査に合格すれば、はれて民間救急となれます
| まとめ
民間救急とはただの名前で
一般的には、車椅子やストレッチャーを積載できる車両を用いて、搬送業務を行なっている事業者のことを指します
そして消防署では、ある一定基準をクリアした民間救急事業者に認定を行なっている
ということです
「許可」や「免許」ではなく
「認定」のため、できる事業内容が増えたりするわけではありません
いわゆる、称号のようなものです
実際のところ、救急救命士や看護師が乗務員をしているような事業所ではほとんどが消防署の認定をうけています
それは、なぜか?
理由は「〇〇消防署から認定を受けています!」と名乗れることで、利用者様やご家族様、病院関係者さま、などからの信用が生まれるからです
東京消防庁さんにも確認しましたが、できること・できないことをまとめました
消防認定あり | 消防認定なし | |
消防署認定を名乗る | ○ | × |
車両に「患者等搬送車両」などのステッカーを貼る | ○ | ○ |
屋号に「民間救急」をつける | ○ | ○ |
ようするに、「消防の認定」は名乗れないが「民間救急」を名乗ることは可能だそうです
民間救急についてご理解頂けたでしょうか?
もしかしたら、消防署によっては「当管轄内では認定を受けないと民間救急や患者搬送事業は名乗らないでください」と言われるかもしれませんので、確認してみてください(その際、東京消防庁の見解を伝えてもいいかもしれません)
以上、実は消防士や救急隊もよくわかっていない「民間救急について」の記事でした🙇